どう使う? プラスチック障子紙のメリット・デメリット

ご存じですか? プラスチック障子紙

現在、様々な材質の商品が販売されている『障子紙』
その中で、
『プラスチック障子紙』
という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

『プラスチック障子紙』は、最近ではホームセンターなどでも目立つ場所に置かれるようになったため、障子紙を探したことがある方なら、一度は見たことがあるかもしれません。
一般的なパルプ・レーヨン障子紙よりも、『丈夫で長持ちしやすい』、『ペットがいても安心』、「破れない障子紙」といった説明で販売されていることが多い障子紙です。

ネット上での検索結果をみても
「プラスチック障子紙 メリット」
プラスチック障子紙 欠点」といったキーワードでの検索も多く、皆様の関心の高さがうかがえます。
もしかしたら今現在、障子の張り替えを検討中で、プラスチック障子紙を選択肢の一つとして考えている方もいらっしゃるかもしれません。

ただ、プラスチック障子紙は、一般的な障子紙とは違う特性を持ってます。それらの特性を考慮せずに「丈夫に越したことはない」と安易にプラスチック障子紙を選んでしまうと、かえって後悔してしまう……かもしれません。

そこで、ここではプラスチック障子紙がどのようなものであるか、その
良い面(メリット)、不向きな面(デメリット)をご紹介し、プラスチック障子紙の良さや欠点をご理解いただいた上で、本当に必要な障子紙選びを楽しんでいただければ幸いです。


【プラスチック障子紙 目次】

・プラスチック障子紙の構造

・プラスチック障子紙のメリット・デメリット

・プラスチック障子紙の良い点・欠点まとめ

・迷ったらコレ! おすすめの障子紙紹介


プラスチック障子紙の構造

一般的な障子紙(パルプ・レーヨン障子紙)は植物由来の繊維を主成分としていますが、それに対して『プラスチック障子紙』は『塩化ビニル(塩ビ)』や『PET樹脂』などのいわゆるプラスチック(化繊)を含んだ障子(紙)です。



基本的な構造は上の図のように、シート状のプラスチックと紙が重なった層状になっており、全体の厚みはおおむね0.2mm程度です。これは一般的なほとんどの障子紙よりも厚みがあります。
また、プラスチックと聞くと透明なものをイメージされるかもしれませんが、プラスチック障子紙は紙の層があるため、見た目には一般的な紙の障子紙と大きな違いはありません。

また、プラスチック障子紙はおおまかに2種類に大別することができます。

1,紙でプラスチック(塩化ビニルやPET樹脂など)を挟んだタイプ




2,プラスチック(塩化ビニルやPET樹脂など)で紙を挟んだタイプ


どちらも基本的には紙とプラスチック(塩化ビニルやPET樹脂など)の3層ほどの構造になっている点は同じですが、
『表面は紙なのか、プラスチックなのか』という点が異なります

一般的にホームセンターなどでよく販売されている『プラスチック障子紙』はこちらの2,のタイプです。
もしも商品説明で『ペットがいても安心』や『水ぶきができる』等の説明がされている場合にはこちらのタイプと考えてよいかと思います。

以下ではより一般的に知られている、『表面がプラスチックのタイプ』のプラスチック障子紙について、その特徴をお話をしていきます。

プラスチック障子紙のメリット・デメリット


まず、前提として、プラスチック障子紙は万能な障子紙ではありません。丈夫さはありますが、その分、注意すべき点も多い障子紙です。

上の図からもわかるように、プラスチック(塩化ビニルやPET樹脂など)で紙を挟んだタイプのプラスチック障子紙は表面がプラスチックです。
そのため、一般的な障子紙用でんぷん糊では張る(貼る)ことができません。別途、専用の両面テープを障子の桟(骨)に貼り付けて張るという商品が一般的です。

また、プラスチックの層があるため、空気・湿気を透過しにくいということも特徴の一つです。

これらの特徴はある視点から見ればよい特徴(メリット)でもありますが、ある視点から見れば不向き(デメリット)にもなりえます。
ここでは単にプラスチック障子紙のメリット・デメリットを挙げるのではなく、まずプラスチック障子紙の特徴を挙げ、様々な側面からそれらの特徴のいい面(メリット)、不向きな面(デメリット)を見ていきます。


プラスチック障子紙の特徴1:
障子紙よりも強度が高い(丈夫)

プラスチック障子紙は、パルプ・レーヨンを主成分とした一般的な障子紙よりも破裂強さの測定値が高い※ものが多く、そういう意味ではプラスチック障子紙は(圧力に対して)『破れにくい』、『丈夫』と言えます。
(※パッケージなどに記載されている『強度〇倍』のこと)

ただし、いくらプラスチック障子紙とはいえ、施工の際にはカッターで簡単に裁断することができる程度の強度ですので、猫などのペットの爪や鋭利なものに対しての過度な期待は禁物です。

ちなみに『強度〇倍※』という表記は、あくまでもJIS規格の破裂強さの下限値に対して○倍いうことであり、一般的な障子紙の〇倍の強度があるということを保証しているわけではありませんのでご注意ください。


プラスチック障子紙の特徴2:
空気・湿気を透過しにくい

プラスチック障子紙は、障子紙の内側と外側で空気や湿気の行き来がかなり制限されます。
それにより一般的な障子紙と比較して、

・部屋の気密性が高まる。(冷暖房が効きやすい)
といった効果があります。今のご時世、省エネ・節電といった観点からもメリットと言えます。また、

・障子紙が湿気を吸わないため、雨の日でもたるみにくい
という見栄えの面での変化もあります。
ただし、それは一般的な障子紙(紙)が持っている「湿気が高いときには紙が部屋の湿気を吸い、湿度が低いときには放出する」という調湿作用や空気のやりとり(呼吸)を失っているとも言えます。

この湿気の影響で伸び縮みしにくいという作用は、障子を貼る際にも関係します。
一般的な障子紙であれば、貼った際に多少たるみやしわがあっても霧吹きをかければ、乾いた際にぴんと張るということも多くあります。
しかし、プラスチック障子紙では、貼った際にしわやたるみがあれば、霧を吹いてもそのまま残り続けやすいです。

そのうえ、気密性が高まり、湿気の行き来が制限されるということはデメリット(欠点)にもなりえます。
例えば窓際の障子の場合であれば、窓と障子の間に湿気がたまりやすくなり、カビや結露の原因となりかねません。
そして結露はプラスチック障子紙がはがれてくる原因の一つとなります。

さらに、熱がこもってしまった場合も、プラスチック障子紙に悪影響を与えます。これらに使用される樹脂は熱で膨張する性質があるため、直射日光などで過度に熱が加わるとプラスチック障子紙のたるみや剥がれの原因にもなります。

このように空気、湿気を透過しにくいという特徴があることで、使用できる場所に制限があるということは注意が必要です。
特に、結露が起こりやすく、直射日光が当たるなど温度の変化が激しいような窓際にある障子へのプラスチック障子紙の使用は多くのリスクが伴います。
特別な理由がなければ、窓際の障子への使用自体を避けた方が無難と言えます。



プラスチック障子紙の特徴3:
糊ではなく両面テープで貼る

プラスチック障子紙は表面がプラスチックになっている構造上、通常のでんぷん糊では貼ることができず、強力な接着力を持つ専用の両面テープで貼ります。
両面テープ貼りでは糊が乾くのを待たなくてよいため、貼ればすぐに完成という点はメリットと言えそうです。
また、糊貼りのように糊の濃さを調整したり、貼っている途中で糊が乾いてしまうようなことがないため、感覚的に貼りやすい方法であると言えます。

問題が起こりやすいのは、両面テープをはがす際
(次の張り替えの際)です。
糊貼りであれば濃度や量を変えることで、接着の強さを適切に調整できます。しかし障子の骨に強力に接着する両面テープ貼りは、テープをはがす際にきれいにはがれずに障子の桟(骨)の部分にテープが残ってしまったり、桟(骨)の木の部分を一緒にめくってしまい痛めてしまうというリスクが高まります。

強力に接着する両面テープ貼りは、結果として障子の建具そのものとしての寿命を縮めてしまう可能性もはらんでいるという点はご理解ください。

プラスチック障子紙の利点・欠点まとめ

これまで挙げたプラスチック障子紙の利点、欠点をまとめると

●プラスチック障子紙の良い点
・丈夫(破裂強度が高い)
・気密性が高い

・雨の日でも湿気でたるみにくい
・糊を使用しないため、貼った後に乾燥を待たなくてよい

●プラスチック障子紙の欠点
・和紙(障子紙)が持っている調湿作用や呼吸機能に乏しい

・結露や直射日光など剝がれにつながる要因が多く、剝がれに注意が必要
・一般的な障子紙よりも引きが強く、骨が細い障子だと反りやすい
・貼った際にしわやたるみがあれば、そのまま残り続けやすい
・障子をめくる際に、両面テープが障子骨を痛めやすい


といったことが挙げられます。

これらを踏まえると
プラスチック障子紙の施工を控えた方がよい場所として、
・湿気がたまりやすく直射日光が当たる窓のそばの障子
⇒障子紙のたるみやめくれなどの原因になりやすい。

・骨(桟)が細い障子(雪見障子のすりあげ部分や欄間障子など)
⇒障子紙の引きが強く、障子の骨が反りやすい。ひどい場合には雪見障子のすりあげが動かなくなる恐れも……。

が考えられます。これらの場所にはプラスチック障子紙の使用を控えた方が無難です。


プラスチック障子紙を使用したい場合は、『空調などによって温度・湿度が適度に管理されており、窓際から離れた位置に立っている障子』への使用の際に、ご検討されるのがよろしいかと思います。

迷ったらコレ! おすすめの障子紙

ここまでプラスチック障子紙の特徴とその利点・欠点の二面性についてお話をしてきました。

プラスチック障子紙にはパルプ・レーヨン障子紙にはない良い面も多くありますが、見方を変えればデメリットにもなりうる面も多く、非常に使いどころが難しい障子紙でもあることがご理解いただけたと思います。

「丈夫に越したことはない」と、安易にホームセンターなどでプラスチック障子紙を購入して張ってしまうと、その後すぐに結露のせいで下からめくれてきてしまった……ということになりかねませんので、よくご検討の上お選びください。

そうなると、『一体どうしたらいいんだ』……と頭を抱えてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、そんな時は本当に「プラスチック障子紙」でなければいけないのか?と考えてみてください。

「障子紙にはある程度の丈夫さは欲しい、でも窓際の障子に張っても大丈夫だろうか?」
「もっと気軽に貼れる使い勝手のいい丈夫な障子紙はないのか?……」
と悩まれるのなら、プラスチック障子紙以外の丈夫な障子紙』という選択肢はいかがでしょうか。

その選択肢の一つ、弊社が『迷ったらコレ!』おすすめしている障子紙があります。

それが
破裂強度4倍(※) の丈夫な障子紙『ジャストロン』です。
 ※JIS規格破裂強さの下限値 78.45kPa に対して


このジャストロンはいわゆるプラスチック障子紙ではありません。成分が通常の障子紙に近く、伸縮が穏やかで剥がれにくいため、ボンドを混ぜたり両面テープを使用したりすることなく、糊だけで施工することができるのが特徴です。

さすがにプラスチック障子ほどの強度はありませんが、それでも日常遣いには十分な強度があり、それでいて接着がよいため比較的場所を選ばずに糊で張ることができます。
丈夫さと貼りやすさを併せ持つちょうどいい障子紙、まさに『ジャスト』な障子紙です。
丈夫な障子紙を初めて張る、という方には特におすすめです。

強化障子紙 ジャストロン
成分:パルプ60%、レーヨン他40%
寸法:95cm×30m巻






●無地は巾広(130cm×30m巻)も取り扱いしております。

ジャストロン 30m巻 無地・雲竜』は、こちらのネットショップからご購入いただけます。

ジャストロンが購入できる
<<ネットショップ(BASE)はこちら
(クリックでショップサイトに移動します。)




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ここではプラスチック障子紙のメリット・デメリットとともに、それ以外の選択肢として『ジャストロン』という障子紙を紹介させていただきました。


これ以外にも雨の日でも比較的たるみがでにくい障子紙や市松模様やカラーデザイン性のある障子紙など、様々な障子紙の選択肢が存在します。

プラスチック障子紙を貼ろうとお考えの方は、
・「どうしてプラスチック障子紙を貼りたいのか」
・「プラスチック障子紙のどのような機能に魅力を感じたのか」
を深堀してみると、もしかしたら別の選択肢が見えてくるかもしれません。

どうぞ、後悔のない楽しい障子紙選びを。

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